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2026.05.24
「貂明朝」は読み方も個性的なら、デザインも個性豊かなAdobe Originals和文フォントです。美しい手書き感と江戸時代の版本に着想を得た字形が特徴で、Webデザインに取り入れるとページの印象が上品になります。この記事では、読み方・特徴・隠しグリフ・貂明朝テキストとの違い・利用条件、そして最新のAdobe Fonts UIを使ったWebフォント実装手順まで、詳しく解説します。
貂明朝は、「てんみんちょう」と読みます。「貂(テン)」はイタチ科の小動物で、その愛らしくも神秘的な雰囲気をフォントデザインに落とし込んでいます。
Adobe Originalsプログラムから生まれたフォントで、デザイナーの西塚涼子氏とRobert Slimbach氏が共同で開発しました。Adobe Originalsは1989年に始まったAdobeの内製フォント開発プログラムであり、貂明朝はそこから生まれたAdobe独自の和文フォントです。
「かわいい明朝体を作りたかった」というコンセプトのもと、日本の伝統的な江戸時代の版本(かわら版)の活字美を現代のデジタルフォントに再解釈して生み出されました。漢字6,469字(グリフ総数9,117)を収録しており、日本語組版に必要な文字はほぼ揃っています。
貂明朝の基本情報まとめ
読み方:てんみんちょう
開発:Adobe Originals(西塚涼子 × Robert Slimbach)
収録文字数:漢字6,469字(グリフ総数9,117)
入手方法:Adobe Fonts(有料のAdobe Creative Cloudサブスクリプション内で追加費用なし)
商用利用:Creative Cloudサブスクリプション契約内であれば可
貂明朝の最大の特徴は、一般的な明朝体とは異なる「もっさりとした温かみ」にあります。通常の明朝体は縦線が太く横線が細い、シャープで上品な印象ですが、貂明朝は全体的に線が若干太く丸みを帯びており、字画のアキが小さめに設計されています。
貂明朝のひらがなやカタカナには、手書きのかすれや筆づかいのあとが感じられます。これは意図的なデザイン処理によるもので、江戸時代の瓦版や読本(よみほん)で使われた木版活字の質感を意識しています。
その結果として、デジタル画面上でも「手で書かれたような温度感」が生まれます。硬質なゴシック体やシャープな明朝体では出せない、懐かしくも個性的な雰囲気がデザインに加わります。
貂明朝には、対応するラテン文字書体「Ten Oldstyle」も収録されています。スモールキャップスやオールドスタイル数字などのOpenType機能も利用でき、日本語と英語が混在するデザインでも統一感を保てます。
貂明朝には、フォントファンの間で話題になった「隠しグリフ」が存在します。特定の文字コードに、32個のSVGカラーグリフ(貂をはじめとする動物のカラーイラスト、貂の異体字、十二支など)が含まれているのです。
この隠しグリフは、Adobe Fontsが対応しているSVGフォント機能を使ったもので、ブラウザやアプリケーションによっては実際にカラーイラストとして表示されます。フォントの中に動物のイラストが潜んでいるという遊び心が、デザイン好きの間で話題を呼びました。
このような「フォントの中のサプライズ」は貂明朝ならではの体験であり、フォントの名前の由来である動物「貂」への愛情がデザインに込められています。
隠しグリフを確認する方法
Adobe IllustratorまたはAdobe InDesignの文字パネルから「グリフ」を開き、貂明朝を選択すると隠れた動物イラスト文字(SVGカラーグリフ)を一覧で確認できます。すべてのグリフを表示する設定に切り替えるのがポイントです。なお、Adobe XDでも確認できますが、現在のメインツールはIllustrator・InDesignの利用が一般的です。
実はAdobe Fontsには「貂明朝」と「貂明朝テキスト」の2種類が存在します。この違いを知らずに使うと、用途に合わないフォントを選んでしまうことがあります。
| フォント名 | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 貂明朝 | ひらがな・カタカナに強い癖がある。温かみ・手書き感が強い | タイトル・見出し・キャッチコピー・ロゴ的な使い方 |
| 貂明朝テキスト | ひらがな・カタカナをアレンジし、クラシックな骨格に。やや太くスッキリ読みやすい | 本文・長文・可読性が求められる箇所 |
貂明朝テキストは、貂明朝の「可愛いけれど本文には癖が強すぎる」という声に応える形で作られた派生フォントです。漢字は貂明朝のまま維持しつつ、ひらがな・カタカナをよりクラシックで読みやすい形にアレンジし、文字をやや太くしたことで長文でも疲れずに読めます。
Webページで使う場合、ファーストビューや大きな見出しには貂明朝、本文テキストには貂明朝テキストと使い分けるとバランスよくまとまります。
他のWebフォント選びのヒントは、こちらの記事も参考にしてください。
貂明朝はAdobe Fonts(旧:Typekit)を通じて提供されています。利用には有料のAdobe Creative Cloudサブスクリプション契約が必要です。
有料のAdobe Creative Cloudサブスクリプションに加入していれば、追加費用なしで個人利用・商用利用ともに利用できます。ただし、契約が切れると使用ライセンスも失効するため、継続的に商業デザインに利用する場合は契約の維持が必要です。
Adobe Fonts経由で利用する場合、以下の点を把握しておくと安心です。
「貂明朝 ダウンロード」について注意
Adobe Fonts経由で利用する場合は、フォントファイル単体をダウンロードして配布・再利用することはライセンス違反となります。Creative Cloudアプリ経由で同期・アクティベートして使用してください。なお、ライセンス条件はAdobeの公式ページで最新情報をご確認ください。
貂明朝をWebサイトで表示するには、Adobe FontsのWebプロジェクト機能を使います。以前はTypekitという名称でしたが、現在はAdobe Fontsに統一されており、UIも変わっています。ここでは2026年時点の最新の手順を解説します。
コピーしたコードをサイトの <head> タグ内に貼り付けます。現在の標準的な埋め込み形式は、以下の CSSリンク形式です。
<link rel="stylesheet" href="https://use.typekit.net/xxxxxxx.css">
上記の xxxxxxx の部分はWebプロジェクトごとに発行される固有のKit IDです。Adobe FontsのUI上でプロジェクトを作成するとユニークなIDが自動生成されます。
JavaScriptによる埋め込み(旧方式・特定用途向け)について
以前はJavaScriptで非同期読み込みを行う方式も提供されていましたが、現在は上記のCSSリンク形式が標準です。特殊な非同期制御が必要な場合など一部の用途でJavaScript方式を選ぶことがありますが、通常の実装ではCSSリンク形式を使ってください。
HTMLに埋め込みコードを追加したら、CSSで font-family を指定します。
/* 貂明朝を見出しに使う例 */
h1, h2, h3 {
font-family: "ten-mincho", serif;
}
/* 貂明朝テキストを本文に使う例 */
body {
font-family: "ten-mincho-text", serif;
}
/* 特定のクラスにだけ適用する例 */
.catch-copy {
font-family: "ten-mincho", serif;
font-weight: 400;
}
貂明朝のフォントファミリー名(CSS上の指定名)は ten-mincho、貂明朝テキストは ten-mincho-text です。大文字・小文字・スペースに注意して記述してください。
WordPressを使っている場合は、テーマの functions.php から wp_enqueue_style() で読み込む方法が一般的です。また、テーマのカスタマイザーやサイトエディタの「追加CSS」に直接 @import するよりも、 <head> 内への直接埋め込みのほうが読み込みパフォーマンスの観点で安定しています。
// functions.php に追記する例
function enqueue_adobe_fonts() {
wp_enqueue_style(
'adobe-fonts-ten-mincho',
'https://use.typekit.net/xxxxxxx.css',
array(),
null
);
}
add_action('wp_enqueue_scripts', 'enqueue_adobe_fonts');
Webサイト全体のデザインについてお悩みの方は、こちらもご覧ください。
貂明朝の「温かみ・手書き感・少しレトロな雰囲気」は、特定のデザインシーンとよく合います。以下に代表的な使用シーンを紹介します。
Q. 貂明朝は無料で使えますか?
A. 有料のAdobe Creative Cloudサブスクリプションに加入していれば、追加費用なしで利用できます。個人・商用ともに利用可能ですが、契約が失効した場合は使用ライセンスも失効します。
Q. クライアントのサイトに自分のAdobe Fontsライセンスで貂明朝を使えますか?
A. 原則としてできません。クライアントのサイトにAdobe Fontsを組み込む場合、クライアント自身がCreative Cloudサブスクリプションを契約し、そのアカウント経由でWebプロジェクトを作成する必要があります。制作者のライセンスを流用する形はAdobeのライセンス条件に沿いません。詳細はAdobe公式サイトでご確認ください。
Q. 貂明朝と貂明朝テキストはどちらを使えばいいですか?
A. タイトルや見出し・キャッチコピーには「貂明朝」、本文や長文テキストには「貂明朝テキスト」がおすすめです。両方をWebプロジェクトに追加して使い分けるとバランスのよいデザインになります。
Q. 貂明朝のフォントファイルをダウンロードして配布できますか?
A. できません。Adobe Fonts経由で利用する場合、フォントファイル単体を第三者に配布・提供することはライセンス違反になります。また、フォントファイルをサーバーに直接置いてのセルフホスティングもできません。
Q. CSSで貂明朝を指定しても表示されません。どうすればいいですか?
A. Adobe FontsのWebプロジェクトで発行したKit IDの埋め込みコード(CSSリンク形式)が
タグ内に正しく設置されているか確認してください。また、CSS上のフォントファミリー名が「ten-mincho」になっているかもご確認ください。大文字・スペースの違いでも正常に読み込まれないことがあります。Q. 貂明朝はWebフォントで使うと表示が重くなりますか?
A. 日本語フォントは文字数が多くファイルサイズが大きいため、読み込みに時間がかかることがあります。使用するウェイトを必要最小限に絞り、重要でない箇所への適用は避けるなどで軽減できます。
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